東京都板橋区の眼科、さわだ眼科クリニックです。緑内障や白内障の日帰り手術に経験豊かな専門医が対応します。

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アレルギー性疾患

アレルギー性疾患とは

眼に起きるいろいろなアレルギー性疾患の総称を、アレルギー性結膜疾患といいます。

目はアレルギーが起こりやすい臓器です。
例えば花粉症は目以外の部分にもアレルギー性鼻炎などの症状が現れますが、目は非常にアレルギーの症状の出やすい場所です。それにはいくつかの理由が考えられます。第一には結膜という部分は直接外界に接しており、抗原が入りやすいことです。第二には、入ってきた抗原成分の中でも、からだとの反応を生じる抗原の蛋白質が目を常にうるおしている涙液によって溶かされやすい性質があります。第三には、結膜には実際のアレルギーの反応を引き起こす免疫細胞がたくさんおり、血管もたくさんあるためにからだの方から、次から次へと炎症を起こす細胞が入り込みやすい、といった点が上げられます。アレルギー以外の原因で起こる結膜炎、例えばウイルスによって起こるはやり目の際にみられるように、目が赤くなるのは、この血管がたくさんあることによって起きているものです。ただし、抗原は目に直接触れる以外に鼻を通して吸い込むことによってもからだに入り、全身のアレルギー反応の結果、目にも症状が出ることも少なくありません。

アレルギー性疾患の症状

目のアレルギーの症状としては、かゆみが最も代表的なものです。目そのものがかゆく感じる場合もありますが、まぶたやまぶたのふちなどの部分に特にかゆみが現れやすく、かけばかくほど症状が強くなることもあります。これは、アレルギー反応の特徴ですので、適切な治療によってかゆみを止めることが必要です。次に多いのはごろごろした感じ、「異物感」というものです。アレルギーの反応によってまぶたの裏側の結膜に粒状のもりあがりができますが、これが、まばたきの際に黒目(角膜)と接触することによって生じる症状です。小さなゴミが入ったように感じることもあります。そして、場合によっては黒目に傷がつくこともあります。涙もよくみられる症状です。目やには、はやり目に比べると多くはありません。一般的に、ある季節に毎年起きること、程度の差はあっても両方の目に生じることもアレルギー性結膜疾患の特徴です。一方、春季カタルなどの重症例では、さらに角膜の合併症によって目が痛みを生じたり、角膜の濁りのためにものが見えにくくなったりする視力低下を引き起こすこともありますので早めの治療が大切です。

アレルギー性疾患の種類

アレルギー性結膜疾患のなかでも花粉症、とりわけ春先に生じるスギ花粉症は、毎年非常に多数の方が発症します。花粉症の目の症状を花粉性アレルギー性結膜炎と特に呼んでいますが、アレルギー性結膜疾患の患者さんの約85%は花粉性アレルギー性結膜炎と推定されています。我が国では約2000万人のアレルギー性結膜炎の患者さんがおり、その大半は花粉症によるものであると推測されています。もちろん、花粉症の原因はスギだけではなく、カモガヤなどのイネ科の雑草や、ヨモギ、ブダクサ、ヒノキなどによる花粉もあり、一年中を通して何らかの花粉が空中を飛んでいることも事実です。その他のアレルギーの原因はハウスダストやカビ、動物などがあります。
アレルギー性結膜疾患にはその他に、アトピー性角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭性結膜炎という3つの疾患が含まれています。これらはアレルギー性結膜炎に比べるとはるかに少ないですが、いずれも治療の難しい疾患です。このうち、アトピー性角結膜炎はアトピー性皮膚炎の方にみられる慢性結膜炎を指し、春季カタルは上まぶたの裏側に巨大な乳頭というものがみられる疾患です。どちらもアトピー性皮膚炎の患者さんが増加してくるのに伴って最近増加していると考えられています。アトピー特有の問題も目の症状に関連しており、長期的な管理が必要です。

アレルギー性疾患の治療

目のアレルギーの治療には抗アレルギー薬という薬が、主として用いられています。これは、先ほど述べたアレルギー反応の中で、かゆみやくしゃみなどを引き起こす指令を伝える物質が細胞から血液に出てこないように抑える薬です。通常目薬として使用します。症状が強い場合は、副腎皮質ステロイド薬も用いられることがあります。ホルモンの薬である副腎皮質ステロイド薬は、適切に使用すればとてもすぐれた薬ですが、目に緑内障などの副作用が現れることがあるので、使用にあたっては注意が必要です。2週間以上点眼薬を継続する場合は定期的に通院し、必ずチェックしてもらいましょう。それでも、強いかゆみなどで日常生活や仕事に差し支えがある場合は、抗アレルギー薬を飲み薬として服用することもあります。

花粉症では、花粉の飛びはじめる前から抗アレルギー点眼薬を点眼すると、花粉がたくさん飛ぶ時期の症状が軽くなったり、症状がでる期間が短縮されたりします。
スギ花粉症であれば、毎年2月10日前後が花粉の飛びはじめる時期なので、抗アレルギー点眼薬を1月の下旬からつけておけば安心です。毎年花粉症に悩まされている方は、1 月中には眼科を受診し、抗アレルギー点眼薬を処方してもらいましょう。

最も重症な春季カタルには、臓器移植の拒絶反応を抑えるための薬である免疫抑制薬の目薬も最近使えるようになりました。以上のような治療法は、症状をしずめるための「対症療法」というものですが、これに対しアレルギーのもとを抑える治療(「原因療法」)に減感作療法があります。原因となる抗原が検査で分かっている方に対し、その抗原を低い濃度から徐々に高い濃度まで時間をかけて注射することによって、からだが反応しないようにならす方法です。ある程度の効果のあることは分かっていますが、最低半年間、毎週通院する必要があります。そしてさまざまな抗原、例えばダニやハウスダストなどによってアレルギーが起こる方にも行える方法です。

アレルギー性疾患の注意点

花粉症の場合は、症状の出現しやすい季節にできるだけ花粉と接しないように工夫することが重要です。ゴーグル型の眼鏡や花粉防止用のマスクの着用が最も効果的です。花粉が飛びやすい日は外出や洗濯物などを外に干すことを避けたり、外出から帰宅したときには服についた花粉を十分に落とすようしたりしましょう。目を洗うことは目を傷つけてしまうこともあるため、あまり勧められません。洗顔して目の周りを洗うことはよいでしょう。ハウスダストの場合は、部屋の清潔を心掛けたり、寝具を干したりするのも効果的です。また動物を屋内で飼うことは避けたほうがよいでしょう。
結膜アレルギーは全身のアレルギーの一部であると同時に、目という臓器に特有の特徴がみられます。時期が過ぎれば治るものだけでないものや眼科専門医の治療を受けないと視力障害を残す可能性のあるものまでさまざまな程度の病気があることを理解いただきたいと思います。

目のかゆみ

目がかゆいという症状は一般的な結膜炎でも起こってきますし、麦粒瞳の初期にも起こります。まぶたのふちがかゆい場合は眼瞼縁炎が考えられます。しかし、一般的に、目がかゆいと感じた場合はまず、アレルギー性結膜炎を疑います。

充血

目が赤くなるのは最もよくみられる目の症状のひとつです。「目が赤いから結膜炎だ」と考えられがちですが、決めつけるのは危険です。もちろん結膜炎の場合が最も多いわけですが、目の奥の失明につながるような重篤な病気の場合もあるからです。また結膜炎といっても、伝染性のものかそうでないのかが非常に重要なことです。

結膜下出血
結膜下出血

出血と充血を区別しますと、出血は球結膜(白目)の下の血管が破れ出血したもので、部分的にすき間なく赤くなります。これは球結膜下出血といわれ、見た目ほど驚くような病気ではありません。充血は球結膜の血管を流れる血液の量が多くなるため血管が太くなっている状態です。

充血の状態もよく見ると、球結膜全体に充血が広がり、充血の程度が角膜より離れるほどひどい結膜性充血、球結膜のある部分だけが充血している結膜の部分的充血、角膜のまわりは充血がひどく角膜から離れるほど弱くなる毛様充血があります。

結膜性充血

まぶたを裏返してみると、まぶたの裏側の結膜も充血しています。このような充血は結膜炎で起こります。結膜炎では伝染力の強い流行性角結膜炎、咽頭結膜熱、急性出血性結膜炎の三つについては周囲への感染防止に特に注意が必要になってきます。

結膜の部分的充血

充血が球結膜の一部分に限られているときは、その充血のしかたで比較的容易に診断することができます。フリクテン性結膜炎、カタル性角膜潰瘍、翼状片、上強膜炎が疑われます。

毛様充血

角膜の周囲の充血がひどく、角膜から離れるほど弱くなりますが、まぶたの裏の結膜に充血はみられません。充血の色は青から紫色に近く、結膜の表面だけでなく深い部分に充血があるように見えるため毛様充血といいます。この充血は、角膜、強膜、ブドウ膜の炎症で起こるため、かなり重い病気もあり、「目が赤いから結膜炎だろう」などと放っておくと、取り返しのつかないことにもなりかねません。十分な注意が必要です。
角膜実質炎、匐行性角膜潰瘍、ブドウ膜炎の可能性があります。

流涙

涙が出るという原因は大きく分けてこつの場合が考えられます。一つは、涙が多量に出るため、鼻腔への排出が間に合わず外にあふれ出る場合で、もう一つは、涙の出る量は普通ですが、排出管(涙道)がつまっていて外にあふれ出る場合です。前者は異物(ゴミなど)が入ったときやまぶしさを伴う病気(角膜や虹彩の炎症)、流行性角結膜炎などのときに起こります。後者は涙のうが狭くなっている場合や閉塞している場合、涙のうの炎症(涙のう炎)などの場合にみられます。先天性鼻涙管閉塞の場合には流涙よりも目やにが目立つことがあります。

近視・仮性近視

近視とは

近視は屈折異常の一種で、遠方から目に入ってきた光が網膜より手前で像を結び、物がぼやけて見える状態です。近視は、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)が正常より長いひとや、角膜・水晶体の光の屈折力がより強いひとに起こります。

近視の原因

近視の原因は現在のところ、よくわかっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。遺伝的な要素としては、親が近視の場合、子供が近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑にからんでいると考えられます。環境としては、勉強、読書、テレビ、コンピューターゲームといった近くを見る作業を長く続けていると、目が疲れ、好ましくないのはいうまでもありません。しかし、こういったことがどの程度、近視の原因になるのか、はっきりしたことは分かっていません。

近視の治療

眼鏡やコンタクトレンズを使って矯正するか、レーシック手術などの方法で近視を治すことが可能です。最近ではオルソケラトロジーという方法による矯正も行われています。

仮性近視とは

調節を司る毛様筋の緊張が亢進して、近視状態を生じることがあります。この場合は治療により近視がなくなったり、軽くなったりすることがあるので、仮性近視と呼ばれています。

治療の方法

仮性近視と診断された場合は、寝る前に調節麻痺の点眼薬をさすことにより、寝ている間に毛様筋がリラックスし、近視が改善することがあります。
仮性近視ではない軽度近視の始まりの場合は、調節麻痺の点眼で近視を改善することは困難ですが、進行を遅らせる可能性はあります。しかし、黒板が見にくくなった時点で眼鏡を作製することになります。

高血圧性網膜症

高血圧性網膜症とは

高血圧性網膜症とは、高血圧症で血圧が高くなり、網膜が損傷を受ける病気です。

高血圧性網膜症の原因

軽度の高血圧であっても、長い間治療しないでいると網膜の血管が損傷を受けます。高血圧によって網膜の毛細血管が損傷を受けると、血管の壁が厚くなり、そのため血管の内径が狭くなって、網膜への血液の供給が悪くなります。網膜のうち血液の供給が不足した部分だけに、小さな島状に損傷が生じることがあります。高血圧網膜症が進行すると網膜の中に血液がにじみ出たり、網膜の虚血が生じることがあり、このような状態が続くと視力は徐々に低下します。特に網膜の中心部にある黄斑でこれが起こると、視力の低下が進みます。妊娠中毒症による高血圧や若年者の合う生高血圧症ではこれらの変化が著名なことが多いです。

高血圧性網膜症の症状

通常、眼の症状の自覚はめったにありません。急激に血圧が上がる急性高血圧症では網膜の出血やむくみが起こり、そのため視力が低下することがありますが、高血圧症の大部分を占める原因不明の本態性高血圧では、症状が現れるのはむしろまれです。

高血圧性網膜症の検査と診断

眼底検査をおこなったり、眼底写真を見たりすることによって診断されます。高血圧で起こる眼底の異常所見としては、動脈が細く狭くなる、網膜の出血や白斑、網膜・視神経乳頭の浮腫などがあります。

高血圧性網膜症の治療

高血圧性網膜症は、よほど重症でない限り、視機能を直接的に損なうことはあまりありません。しかし、重要なのは、網膜動脈閉塞症や網膜静脈閉塞症、虚血性視神経症など視力を低下させる病気の原因となることです。そのときには視機能は大いに脅かされることになります。
また、高血圧症の治療が遅れたり、中断されたりして、血液の供給が不十分な領域が網膜に広くみられたり、むくみや出血があまりにひどいとわかった場合には、レーザー光凝固術で治療が行われます。

高血圧性網膜症の注意点

高血圧性網膜症を進行させないために、内科的な高血圧の治療とともに、定期的な眼底検査などを忘れずに受けることが重要となります。

眼瞼内反症

眼瞼内反症とは

まぶたが反り返って、眼球側に入り込んでくる(内反する)病気です。

眼瞼内反症の原因

まぶたの前葉(皮膚に近い側)と後葉(眼球に近い側)のバランスが崩れることが直接的な原因です。その理由としては、やはり加齢が関係していて、年とともに腱膜や目の周囲の筋肉(眼輪筋)がゆるむこと、眼球を取り囲んでいる脂肪(眼窩脂肪)が萎縮して眼球が奥に移動し、その分まぶたが少し余り気味になることがあげられます。そのほか、結膜の病気の後遺症や甲状腺の病気なども原因になります。

眼瞼内反症の症状

まつ毛が眼球表面、角膜や結膜に触れるので、痛みやかゆみを感じ、涙があふれたりし、角膜炎や結膜炎を引き起こします。
視力や視野がすぐに問題になることはありません。ただ、まつ毛によって傷ついた角膜や結膜から、角膜炎や結膜炎になると、視力が低下することがあります。

眼瞼内反症の治療

皮膚や眼輪筋を少し縮める手術などで、前葉と後葉のバランスを整え、治療します。

眼瞼下垂

眼瞼下垂とは

上まぶたが垂れ下がり、まぶた(眼瞼)が開きにくくなる病気です。

眼瞼下垂の原因

先天性と後天性の原因があります。かつては先天性の眼瞼下垂が多かったのですが、今は高齢化で中高年者に起きる後天性の眼瞼下垂が増加しています。
子どもの眼瞼下垂の多くは、先天性の眼瞼挙筋の発育不全が原因です。保護者の方はとても心配されますが、病気として珍しいものではありませんし、遺伝や妊娠中のトラブルともあまり関係なく、多くは偶発的なものです。

後天性眼瞼下垂では、加齢によって、まぶたを開く筋肉(眼瞼挙筋)とまぶた本体をつないでいる腱膜が、徐々にはずれてきてしまうために起こる加齢性腱膜性眼瞼下垂が最も多く、そのほか眼瞼挙筋や動眼神経の麻痺、外傷、眼の手術の合併症、ハードコンタクトレンズの長期使用なども原因となります。動眼神経麻痺や外傷などでは左右どちらか一方に起こりますが、加齢によるものでは、程度の差はあっても、たいてい両目に現れます。

眼瞼下垂の治療

先天性の眼瞼下垂は、眼瞼挙筋を短くするといった手術で治療します。
瞳孔が完全に隠れている場合は、視力が育たず弱視になることがあるので早めの治療が必要ですが、そうでなければ、全身麻酔をすることの安全性や生活上の不便さなどを考慮して、2~5歳くらいの間で、集団生活を営む就学前に治療を受けるとよいでしょう。
後天性の眼瞼下垂は、はずれかかっている腱膜を眼瞼挙筋につなぎ直す手術を行います(腱膜修復術)。まぶたの形を整えるために、目の周りの脂肪やまぶたのたるみを同時に除去することもあります(眼瞼形成術)。大半はこの方法で治せますが、眼瞼挙筋や動眼神経が麻痺しているときは、まぶたと前頭筋をつなぐ、つり上げ術を行います。

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